使用頻度の高いものの総称「エース」
これはそんなエースの置き場を作るまでの物語である。
西暦2019年2月21日、とある男性が些細な変化に気がつく。
昨日と同じアウター着てる
先週と同じ本を読み続けてる
先月と同じバック使ってる
去年と同じ趣味を続けてる
それは些細な事だった。
「毎日のように使用しているものをまとめられる場所を作ろうかな。」
この気づきが彼に与える影響は大きかった。
W杯の日本対ベルギー戦のラストプレーの前にコーナーキックをキャッチしたクルトワほど大きな影響だった。
デブルイネが走り出すように、彼は紙管とジョイントを手に取り準備を始めた。
デブルイネはドリブルのスピードを上げ始めた。対応していた山口蛍は迷っていた。前に出てファウルをするのか、下がって後ろを固めるのか。時間はない。早く判断しなくてはならない。
焦るな!だが打ち合わせの時間は迫っている。エースを素早く取り出、それでいて安定した形。それも素早く考え、土台部分を作った。結果的にこの速さが勝敗を分けた。
次々と駆け上がるベルギーの選手。必死に戻る日本の選手。外で見ていた何人かの選手が気がつく。勢い任せではない。慣れている。明らかに練習されている動きだ。
エースの置き場を作る彼もまた慣れていた。何度も経験した作り方だ、何の迷いもなく積み上げ骨組みを完成させていく。その形は安定した良い形だった。
日本のディフェンスは焦っていた。中にはベルギーの絶対的エース、ルカクがいる。彼の特徴は圧倒的な決定力の高さである。何人もの対戦相手が彼に苦渋を飲まされた。
そんな決定力がこのエースの置き場にはあった。次々に所定の位置に決まっていくエース達。絶対的エースである存在感抜群の赤のアウターもかけられた。
エースであるルカクにパスが出された。センターバックとの一騎打ち!っと思われたが、彼はスルーした。味方も敵も監督さえも驚いた。絶対的エースがスルーをして違う選手にボールを出すなど誰が予想しただろう。
エースの置き場作りも終わった!っと思われたが、彼は違った。誰もがこの暖かくなった時期にニット帽が置かれるとは思わなかった。しかし、彼は打ち合わせがない日は髪を整えないのでニット帽を被るのだ。そんな事は誰が予想できただろう。
激しく喜ぶベルギー選手達が印象的だ。どれだけ厳しい試合をしていたかは彼らの喜び方で感じる。
製作を終えた彼の喜ぶ姿を見ても、どれだけ厳しい作業をしていたかが分かる。
エース、その絶対的存在感から、常にどこに置くかを迷う。
その迷いを捨て、チームとしてひとつになった時、朝の準備の時間が短縮される。
他人から見たら小さな差であるが、当の本人に取ってこの効果は大きい。
ベルギー戦を終えた日本代表
製作を終えた彼
何言ってるのかよく分からないこの文章を読んだ方全員に捧げます。
お疲れ様でした。