教室空間の最適化への道
第2回 教室中落書きし放題なドイツのインターナショナルスクールの空間

2020.07.10ユキグチ

こんにちは!
ドイツでそろばんの先生をしているユキグチです。
前回はわたしの自己紹介をしました。

今回は、普段ドイツを拠点にヨーロッパの教育事情を調べているわたしが、
教室空間という観点で「海外の教室はどうなっているのか?」をご紹介したいと思います。

まずは、わたしの住むドイツの学校をご紹介します。

ドイツのギムナジウム(日本で言う中高一貫校)にいくつか行ったことがありますが、大体の学校はかなり日本と似ていて黒板1つに机ズラーッとというタイプが多いです。
そこで、ある物を見つけて驚いたことがあります。

OHPって、みなさんご存知ですか?
“オーバーヘッドプロジェクター”が正式名称なんですが、映したいものが描かれた透明なフィルムに、下から光を当て、レンズで拡大してスクリーンに投映するアレ。
まだ日本でも使っているのかな?

ドイツの学校は古き良きモノを大事にする文化が根付いているので、まだ現役で使っているところが多いようです。

もちろんドイツでも、今はパソコンからプロジェクターに直接繋ぐのが主流ですが、OHPも現役で活躍しているのです。

ただ、今回はOHPの話でもドイツのモノを大切にする国民性の話でもなくて、
ドイツのとあるインターナショナルスクールのはなし。

インターナショナルスクールって言えば、日本でも学費が高いってイメージがあると思うんですが、ドイツも同様。ドイツは公立の学校なら基本は無料なので、インターに通わせるご家庭はそれなりのお金を出せる方が多いです。

もちろんその分、施設や設備への投資もしっかりしているわけで、校舎も新しくてきれい。
さらには教室の床はカーペットだし、ソファだって置いてある。
壁も可動式なので、もはや教室空間って言葉では言い表せないくらいオープン。

見学していると「何かおかしいぞ・・・!?」と気が付きます。
よくよく見ると生徒が机に直接何か書いている・・・

わたしが学生のころには授業中に木製の机に相合い傘をハサミで掘ったり(ほんとはダメです)、先生の似顔絵を書いたりしてました。
(ちなみに高校時代には青山テルマが人気で、国語の青山先生は「テルマ」って生徒達から呼ばれていて、落書き登場率トップだった。)

「さては先生の顔でも落書きしてるんだな〜(ニヤリ)」って思い、近づいてみると・・・
その生徒は机に計算式を書いているではありませんか!?

なんと、私が見せてもらった教室は机がホワイトボードになってました。
しかも机だけではありません。壁もホワイトボードなんです。

なので授業中に先生が出した問題をノートではなく、机にマーカーで書いちゃいます。
しかもこちらのインターナショナルスクールでは、生徒全員がiPadを持っている始末。
ゆえにノートなんて取らずに、計算をホワイトボードの机に書いたらあとはそれをiPadで写真撮るだけ。

マーカー代とiPad代を考えるとお財布にはあまり優しくないですが、紙を使わないので環境には優しい。
ドイツをはじめヨーロッパは、環境への意識は日本より高く、ペーパーレスはひとつの大きな課題です。

「え、じゃあ落書きし放題。落書き天国だ!」

って思いますよね。
でも周りを見渡しても、相合い傘も見当たらなければテルマの落書きもない・・・

人間って不思議ですね。
落書きしちゃダメ。って言われると落書きしたくなるし
さあいくらでも落書きしても良いよ〜って言われると逆にしなくなる。

きっと、束縛されると浮気したくなる、放任されると逆に追いたくなる、そんな男女の心理状況と似てるのかもしれません。

この学校は、
外には、農家かっていうレベルの家庭菜園用のスペースや窯があったり、

パソコンルームには3Dプリンターがあったりと、

大人が見ても、わくわくするような環境が整っています。
わたしが学生なら間違いなくこんな学校に入りたい!って思えるような環境です。

今回は、教室中落書きし放題な、ドイツのインターナショナルスクールの教室空間をご紹介しました!

次回は国をまたぎ、オランダの学校をご紹介しようと思います。

ユキグチ
新卒で入った会社4ヶ月目にしていきなりフィリピン支社へ転属。その後も日本とフィリピンを行ったり来たりするも5年間務めた会社を退職。現在はドイツでそろばんの先生をやっています。最近ほしいものはペンタブ(PCでお絵かきできるやつ)ブログ:https://ykigchi.com/