気にしてミル
〜カステルバッキオ美術館/イタリア〜Part2

2018.12.28渡辺羅須

気にしてミルは「何気なく見てしまうものを気をつけてミル」というテーマで書いていきます。
普段何気なく見て、それが普通だと思ってることを
気にして見ることで新しい感覚と出会うことを目的にしているコラムです。

要するによく見て、よく考えることに挑戦するコラムです。
前回はカステルバッキオ美術館の説明のみでしたが、今日は美術館の魅力を考えていきます。

この美術館の中に入った時に息をのみました。
想像していたより大きいわけでも、見た事のない形をしていたわけでも、実は動物園だったから、というわけではありません。

今回はなぜ息を呑んでしまったのかを「目地」という視点から分析していきたいと思います。

そもそも目地とは「部材と部材の継ぎ目」のことです。
一般的に知られているのはレンガやコンクリートブロックの継ぎ目の部分ですが、壁紙の継ぎ目、フローリングの板目の隙間なども全て目地です。
つまり家の中のありとあらゆる場所に目地は存在します。
実はその目地のバランスが建築家の腕の見せ所なのです。
なぜなら目地の見せ方によっては空間の質が全く違うものになるからです。

実際に目地に注目して下の写真を見てみます。
場所はカステルバッキオ 美術館の側道です。

材料はレンガです。近くでみると大きさが微妙に違うレンガはどこか人間味を感じます。
まちの中にこんな壁がある事がうらやましいです。
どこかの芸人がNYにかぶれてると言われていますが、その気持ちは非常に良く分かります。
こんな壁があるまちは歩いてるだけで楽しいので、私はヨーロッパの古い町に行くと頻繁にかぶれます。
ちなみにドイツで虫に刺されてカブれた事もあります。

話を戻しましょう。
美術館の中の目地がどうなっているかというと

壁に目地がありません。
ここが非常に大事です!

なぜ目地の有無が大事なのか。
下の図を見てください。

上の写真を白黒にしてレンガの目地を足して見ました。

今度改めて目地のない写真を見てみます。

注目すべきは左右の作品です。
この目地が持っている意味はこの部屋の場合は「どの様に彫刻をみてもらうか」です。
目地がない場合に彫刻が際立っているのが分かると思います。

「ただの壁の素材の話」と捉える事も出来ますが、大切な事が2つあります。

一つ目は目地は部材の大きさを表すという事です。
レンガの場合、手で組んでいく事が多いので必然的に手で持てるサイズに成形されます。
木の場合、木の太さや種類、加工する機械によって大きさが決まります。
このような決められた部材の大きさ(規格サイズ)が目地を作り、また部材それぞれの味を作っていると言えます。
だから目地をみると、特にレンガの目地を見ると人間味を感じるのでしょう。

二つ目は目地を無くす作業が大変だということ。
今回のコラムの話は簡単にいうと
目地をなくす事で部材の持っている味を無くし、彫刻が際立つような空間にした
ということです。ただ、言うのは簡単ですが、そんなに簡単な話ではありません。
目地を無くすのは作業工程も多く、また小さなミスが目立つ為、職人が時間をかけて手作業で行うしかありません。
これだけの大きさの壁の目地を無くすように仕上げるとなると途方もない作業です。
大きな労力と費用をかけて部材の目地を無くし、彫刻を際立たせたかったと言えます。

このような解釈をした時に
どんなに多くの労力と時間をかけてでも作りたかった空間だったのだと感じました。

これで息を呑んだ理由が分かりました。

あーもう1回行きたい!!
今日はここまで

渡辺羅須
1993年、東京都生まれ。好きな食べ物は納豆。好きな動物は猫。スポーツは大体好き。小学校~高校まではバスケをしてた。マイブームは建築。口内炎ができやすいのが悩み。