まちを歩く 第1回
「イタリア ベネツィア ブラーノ島」

2018.12.13なべやっこ

2018年10月1日10:00 ヴェネツィア。 

ベネツィア本島のスカルツィ橋の袂からフェリーに乗って40分、ブラーノ島が見えてきた。色とりどりの色で塗られた家々が見えると、船に乗った人々は、みんな一斉にカメラを構える。


この日は重く雲が垂れ込め、カラフルさも多少くすんでいたが、それでも、鮮やかな赤や青の原色、優しいピンクやペールグリーンのパステルカラー、えんじ色や黄土色と呼びたい渋い色…次々と目の前に現れる色に目を奪われる。全ての建物が隣と違う色に塗り分けられている。

もともとは、地元の漁師が島に帰ってくる際に、霧の深い中でも自分の家が見分けられるように工夫したことから始まったそうだ。マッチョなイケメン漁師が、自分の家をカラフルに塗ったくるさまを想像してみる。
現在は、建物の色を変えるにはベネツィア市の許可がいるそうだ。


島に上陸してみると、建物は同じような作りで、30~45坪程度だろうか、ほとんどが2~3階建て。1階で商売、2階が住居といった日本の古い商店のような家が、5~10m幅の運河に沿ってずらりと並んでいる。確かに色でも付けなければ見分けがつかないかもしれない。


運河と建物の間には、観光客がひしめいている。はっきり言ってこの小さな島には、他には特に見るところもない。建物をカラフルに塗り分けただけで、これだけの観光客が世界中からやって来て写真を撮りまくる。なんてシンプルでグレートなアイディアだろう。


海外ではよく歩く。そして腹が減る。そこで、レストラン探し。
混んでる店に間違いはない。看板にRistorante Pizzeria Principeとある。愛想もきっぷもいいおかみさんが、巻き舌のイタリア語で叫んでいる。どうやら人気店。人や荷物をかき分けて、隅っこの席に通される。横には隣の団体客のボストンバッグが山積みだ。


当然注文するのは魚介系。注文したのはヴェネツィアならどこへ行っても食べられる“イカ墨”のパスタ。やって来た皿の中には、薄墨どころではない、どろりとした真っ黒なソースとパスタしかない。
これが旨かった!ベネツィアでさんざん食べた“イカ墨のパスタ”でナンバー1!
濃厚でワイルド、それでいて繊細な味わい、とにかく最高。

ブラーノ島の名物は、カラフルな家並みやレースではなくて、“イカ墨のパスタ”である、とここに宣言する。


細い路地に入り込んでも、どこまでも家は塗られている。
イケメン漁師は見当たらなかった。

なべやっこ
昭和生まれ。川口育ち。とにかく良く歩くコツコツ営業マン。毎日2万歩。歩いて見つけた面白いモノを紹介します。趣味はサッカー観戦と昼寝。