備忘録編① 小屋 の魔力

Archi Daily というサイトで Tiny house について書かれた記事が出ました。
https://www.archdaily.com/925121/the-great-tiny-house-debate-what-it-means-to-downsize-the-dream?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

拡大解釈を加えて要約すると

昔はマイホームの夢もあったけど、莫大な借金を抱えながら残りの人生を生きるくらいなら、その夢をダウンサイズしてTiny house で過ごそうぜ。色んな方法/考え方あるぜ。

的な話だと思う。日本だとtiny house は小屋と訳せると思う。(厳密には若干違いがある。)

建築に興味がある者としては、とても興味深いことがある。

1つは、“ Tiny ” という事。
物件を探すときに、わざわざ小さい物件を探す人がいないように、建築において小さいというのは基本的にはマイナスの要素が強い。ソフィア協定という人が健康に暮らすために必要なスペースの規定があり、そこにも最小限のスペースの規定はあるが、最大の大きさはない。つまり、大きい分には快適に過ごせるという風にも(超拡大)解釈できると思う。
なのに小さい空間を求めるTiny houseという考え方が存在するという事。これは不思議。

2つめは、“ 人気 ”という事。
このサイト内で2018年に一番見られたのはTiny house関係との事。つまり、建築が好きな人は、tiny houseに非常に興味がある事になる。なぜだ。

以上の事を「ロマンだから / 空間の好き嫌い」という風に片付けられることが多かったので、少し考えてみようと思う。

まず思い浮かぶのは経済の流動性などを理由に従来のマイホームの夢から単純にダウンサイズしたという考え方。これは少し納得できない。それならば、自分で買える最大サイズを求めると思うのだが、わざわざ小さいものを求めている人もいる。Maximam を求めるのであってTiny の部分が説明できない。

では単純に小さい空間が好きな人向け、という考え方ならどうだろう。これは一定数いるが、サイト内での一番の人気を博すまでの人数がいるとは思えない。むしろ体感的には狭い空間が苦手という人の方が多い。

では非日常空間を求めているから、というのはどうだろう。サイト内にも都会に住む人達の週末ように貸し出す人もいるとある。この線はいけそうだけど、しっくりこない。

話が散らかってしまった。需要としては小屋を購入する人、小屋に遊びにいく人、小屋をサイトで眺めるだけの人とグラデーションができそうだ。でも、なぜ小屋に惹かれるのかの説明としてしっくりくるものは1つもない。古代では分からないものは神や魔法にして信仰するというカルチャーがあったそうだ。つまりこれは小屋の魔力である。小屋様――――

下畑 オリー
平成生まれ。東京育ち。猫と海外と写真が好き。誰にも負けない子供時代のエピソードを複数持っているが、滅多なことでは明かさない。