フランスの建築①
~ 抽象的な言葉がキライ ~

2021.08.02渡辺羅須
フランスの建築① ~ 抽象的な言葉がキライ ~

「この建物は美しい」「興味深い」「面白い」という言葉を建築を見たときに使わないようにしている。抽象的な表現や、詩的な表現はとても便利で、大きな枠組みを捉える時は特に耳障りがいい。
一方で、その曖昧さは他人には伝わりづらいし、何より言語化できない自分の能力のなさをうやむやにして、「それっぽく」書いているような気がしてならない。


写真はAvignon(アヴィニョン)。フランスの街並みを捕まえて「美しい」と呼びたくなる気持ちはよくわかるが、抽象的な言葉をなるべく使わず、何が「美しい」のか考えてみようと思う。

大きな建物はゴシック建築だと思う。ボリューム感のある外観に加えて、石のテクスチャが相まって、異常性を感じる。この異常性は機械のなかった時代にこのような巨大で労力と金が掛かる建築を作るとは、正気とは思えないという部分から意味。この大きな石を人力で、しかもこの量を運ぶなんて、どうかしてる。また、窓にもこだわりが見える。細かいスリットのような窓がいくつもあり、また外部はそうでもないが、内部は当時としては難しい石の加工を贅沢に使用。動線は人を大きく動かす事を意識。メインのスロープから降りてきて大きな広場へ繋がる動線は、大きく動き、視線を変えながら、それでいて広場を常に意識するような配置。建築と、その周りの環境によって、常にこの建物を意識する配置になっている。
これらの異常性 = 情熱 なので、この異常性は建物を建てた人達の権力とそれを示そうとする顕示欲への情熱だと思う。ああ、なんて狂っていて美しいんだろう。

というように、美しい理由について考えたりするのは、自分の知識や経験から言語化されると思う。
つまり抽象的な言葉を使う時は、自分の知識や経験がない事を露呈しているとも取れる。私はこういうのがキライだ。


ああ、なんて美しいんだろう。ドーンとしてて、グニャグニャもしてて、レゴみたいで、おとぎ話に出てくる悪役が住んでそうな建築。とても面白い。
デザインはフランク・O・ゲーリー。場所はフランスのアルル。
コロナの関係で中に入る事はできなかったけど、フランスの街並みからは到底考えられないような、ニョキニョキ感。うーん、素晴らしい。


ついでに少し遠くから逆さゲーリーも撮ってみた。どう? 綺麗じゃない?
普段は曖昧なものがない、重厚感がある建築が好きなんだけど、こういうのも好きなんだよね。作り方とか、とても興味深い。

自分の知識や経験の無さを露呈したコラムになったところで、
今日はここまで。

渡辺羅須
1993年、東京都生まれ。好きな食べ物は納豆。好きな動物は猫。スポーツは大体好き。小学校~高校まではバスケをしてた。マイブームは建築。口内炎ができやすいのが悩み。