フランスの建築②
〜見えない〜

2021.11.11渡辺羅須
フランスの建築②〜見えない〜

フランスのマルセイユに行き、L’Ombrière de Norman Fosterという建築を見ました。設計者はノーマンフォスターです。世界的に有名なこの建築の特徴は、ステンレスで仕上げられた独特の空間です。天井を見上げると自分自身や、様々な人たちの行動が映し出されています。海から反射する光をこの建築がさらに反射して、とても不思議な空間!

上を向いて写真を撮った図

あれ、、、屋根が薄い。。。信じられないくらい。なのに柱と柱の間隔は広い。

通常は 屋根を厚くする or 柱の間隔を狭くする 事で大きな空間を作ります。
ただこの建築は 屋根が薄く(見える) + 柱の間隔が広い でした。何かがおかしい。普通の感覚じゃない。しかも海沿いのこの地域、風も強いですし、海が荒れたら影響を受けるでしょう。どうやって作ったんだろう。

建築は「見えない」部分にこだわらないといけない事があります。外観を綺麗にする為に見えない配線、腐食から守るために見えない木材、人から見られないように動線(人が移動する経路)を見えなくする事もあります。
今回の建築も見えない部分に様々なアイディアが詰まっていて、詳細を細かく見るととても驚きます( 継ぎ目が溶接されて無いです。溶接から出る歪みと焼けを警戒して、恐らくステンレス板の裏側の工夫で骨格に固定していて、面倒そうですが、この方法はとても参考になるなと思いました。あくまでもステンレス鏡面で、屋根の裏に人の動きをなるべく反射させたいフォスターの強い意志を感じました。)。

話は少し変わりますが、「見えない」に対して思う部分があります。「3分でわかる〇〇」、「誰でもわかる〇〇」という本や動画が好きじゃないし、映画や小説家の人は作ったものを全て語らないで欲しい。想像する楽しみを奪わないで欲しい。

建築は喋らないし、見えない部分がたくさんあるので、やっぱり建築を見るのは楽しいと思う今日この頃です。

ああ、いい天気。
今日はここまで。

渡辺羅須
1993年、東京都生まれ。好きな食べ物は納豆。好きな動物は猫。スポーツは大体好き。小学校~高校まではバスケをしてた。マイブームは建築。口内炎ができやすいのが悩み。