クリスマスマーケットと建築 in ドイツ

2021.12.26渡辺羅須
クリスマスマーケットと建築 in ドイツ


クリスマスマーケットという祝祭を建築と一緒に見てみようと思います。

クリスマスマーケット・・・
アドベント( Advent ; キリストの降誕を待ち望む期間 11月25日頃から12月24日まで )の期間中にドイツやオーストリアで行われ広まったイベント。起源や歴史は諸説ありすぎてまとめきれませんでした…


年を重ねると「祈り」や「宗教」の強さ(大事さ)をとても感じます。特にドイツに住んでいると「祈り」や「宗教」をとても身近に感じます。もちろんキリスト教だけでなく、 イスラム、仏教など、私が思った以上に多様な宗教が混在してます。私は無宗教ですが、願掛けとしての「祈り」ではなく、日常の行為としての「祈り」の強さを肌で感じる事が。ヨーロッパに来てからは非常に多いです。


さて、ドイツの祝祭といえばクリスマスマーケット! 人気のイベントでコロナ前は日本からも多くの人が訪れたそうですが、今年はワクチン接種者かコロナに感染し回復した人しか入れない(通称 2Gルール)など厳しい規制があります。
それほど厳しい規制があってもたくさんの人が集うクリスマスマーケットに行ってきました。街の中にいくつもクリスマスマーケットがあり、その場所場所で特徴も規模も違います。

盛り上がっているのは言わずもがなですが、少し感動した部分があるので、それをご紹介します。

【 1. 建築が多様だった 】
多くの場所ではいわゆる屋台のような仮説の店がたくさん並ぶのですが、日本の屋台とは少し趣きが違い、ほとんどが建築物と言ってもいい構造をして、仮設には見えないものが多いです。その建築の作り方、素材、装飾に注目しました。

テントのような簡易的な建築から昔ながらの古くて重そうな建築、さらに特徴的なデコレーションを加えた建築など、その姿は多様でした。マーケットが一つの村のようになっていて、それぞれの村の特徴があるように、建築もそれぞれ場所によって特徴がありました。小さな町の中に、さらに小さい特徴的な村がいくつもある感覚です。ヨーロッパならではのとても面白い体験でした。

【 2. 伝統の心地よさ 】

伝統や歴史は往々にして退屈なものと思われがちです。一方で、長い時間残ってきたものは愛されてきた証でもあり、特にクリスマスマーケットではそれを感じます。昔ながらの照明、お店、ゲームが、ただただ心地いいんです。私は懐古主義にはなりたくないと日頃から思っていますが、伝統的なものの心地よさを改めて感じました。そう、グリューワインは特別美味しいものでもないのですが、この雰囲気で飲むと心地良いものなんです。
伝統は美しいでもカッコイイでもなく、心地いいという感覚でした。

【 3. “空間を楽しむ”という行為に久々に触れた気がした 】
遊びを楽しむ、食事を楽しむと同じように「空間を楽しむ」という行為があると信じています。
何も買ってないけどいるだけで楽しい、ここに来ると会話が弾んで楽しいなど、その「空間」を楽しんだ体験をした事がある人は多いと思います(建築士の仕事はまさしくそれです)。

コロナ禍で無くしていたのは「空間を楽しむ」という行為だったのかもしれないと思いました。ネットのおかげで様々な恩恵を受けていますが、空間を楽しむのはまだ実体験だけだと感じています。制限を受けながらも存分に楽しんでいる人達を見て、建築の力の大きさを改めて知った夜でした。

まだまだ話したい事はたくさんありますが、長くなってしまいましたのでクリスマスマーケットの建築力についての話については、今日はここまでにします。また機会があればどこかのタイミングで。

渡辺羅須
1993年、東京都生まれ。好きな食べ物は納豆。好きな動物は猫。スポーツは大体好き。小学校~高校まではバスケをしてた。マイブームは建築。口内炎ができやすいのが悩み。