子どもと小屋の関係性について

2021.11.18cacapo編集部
子どもと小屋の関係性について

子どもは小屋が大好き!
小屋が目の前にあると、魔法をかけられたかのように、吸い寄せられて行きます。 
今回はこの、子どもと小屋の関係について調べてみました。

1. 子ども × 小屋 ×教育の背景

子どもに小さな家を与える文化が世界中であります。イギリスではウェンディーハウス(Wendy house)、フィンランドではレイキモッキ( Leikimokki )、総称して英語ではプレイハウス(play house)と言い、ECサイトなどで調べるとよくわかりますが、すごい数の商品が出てきます。
多くの国で子どもに何かしらの小屋(自分の部屋ではなく、小さいな家)を与える事例が多くあり、家の中だけでなく公共の場所、例えば森の中の小屋、学校の敷地の中に小屋を作ったりと世界中で子どもに小屋を与える文化が浸透しています。日本でもダンボールで秘密基地を作ったり、小学生になると公園に秘密基地を作った記憶がある人も多いと思います。
これについてデヴィッド・ソベル( David Sobel) の Children’s Special Places: Exploring the Role of Forts, Dens, and Bush Houses in Middle Childhood という本の中にこんな事を言っています。なぜ教育として子どもに小屋を与えるのでしょうか?

“In these secret places, children develop and control environments of their own and enjoy freedom from the rules of the adult world “
訳 (著者) : このような秘密の場所で、子どもたちは自分の環境を整え、コントロールし、大人の世界のルールから自由になることができます。

大人のコントロールから外れる事で、子ども自身が自由に発想し、自分で判断する場所を作れる、という事なのでしょうか?うん、これは確かに教育的に大事だ。

2. ノルウェーの論文

アンネトリーネ (KJØRHOLT, ANNE TRINE) が ‘Creating a Place to Belong’: Girls’ and Boys’ Hut-building as a Site for Understanding Discourses on Childhood and Generational Relations in a Norwegian Community” という論文を出しており、その中に

Building huts can be seen as children’s construction of special places during childhood. Often these places are seen as secret places, reflecting a separate ‘children’s culture’ developed within a particular microcosm. 
訳 (著者) : 小屋を作ることは、子供たちが特別な場所を作ることと考えられます。これらの場所はしばしば秘密の場所とされ、特定の小宇宙( 想像の意味 )の中で育まれる、独立した「子供の文化」を反映しています。 

と説明されています。「子どもの文化」というのが面白い表現だなと思いました。前述している事と内容は似ていますね。子どもが自由に発想して、自分の意思で判断して、行動する事が教育として力を入れているという風に解釈できると思います。

3. 結局どんな効果があるの?

と、さまざまな研究があるのですが、結局子どもが小屋で遊ぶとどんな効果があるのか、私の解釈でまとめてみました。

3-1 : 身体性の獲得
空間の大きさを自分の体と比較し、広い・低いなど判断します。こうする事で自分自身の体の大きさを相対的に理解するようになります。加えて、楽な姿勢など、自分の体の動かし方の感覚を掴むきっかけになります。

3-2 : 物性理解の獲得
この木は曲がりやすい、このプラスチックは太陽の光に弱いなど、作って終わりではなくその中で過ごしているので、使用している物性(ものの特徴の意味 ( 例 : ダンボールには方向がある ))を理解する事ができる。

3-3 : 精神的な落ち着き
目から入る情報が限定的になる事と、光量が落ちる事により精神的に落ち着くとされている。

3-4 : コミュニケーション
多くの本で言及していた点ですが、作る段階で、複雑なコミュニケーションをする機会が多くある。全員が入れる、窓が欲しいなどそれぞれの好みの条件、得意不得意を理解しながら作業分担など、大人でも難しいコミュニケーションを行いながら、小屋の中で過ごすので、コミュニケーションスキルの良い機会とされている。

Etc…
とまあたくさん書きましたが、実はまだ入りきっていないものも多くあり、機会があれば第二弾として発表したいと思います。
ああ、子ども用に自由にできる小屋欲しいかも、、っと思った方は、ぜひカカポを覗いてみてください。

今日はここまで。

※注意
英語の翻訳間違えてたらすいません。。。途中意訳もありますが、ご容赦下さい。

cacapo編集部
「家の中の家 カカポ」の企画部による、空間を遊ぶウェブマガジン「CACAPO」の編集部。少人数精鋭。ダンボールと紙管の山に囲まれて日々仕事に励む。年齢はフットワークで決まるがモットー(なのか?)。