「口」のお話 第3回
〜お口の中に住む細菌たち 後編〜 

2019.04.12尾崎隆一
「口」のお話 第3回

みなさま
春ですね!
またこのコラムにアクセスいただき、ありがとうございます。
前回に引き続き、〜お口の中に住む細菌たち〜 の後編をお送りいたします。

虫歯は文明病

前回は虫歯になるメカニズムのお話をしました。
では虫歯や歯周病は、いつから人類を悩ませているのでしょうか?

古代人の人骨から口腔内の状況を推定すると、農耕をせず狩猟を行っていた時代には虫歯の数が少なく、農耕が始まる時代に虫歯が急増することが分かっています。
その上、中世から近代の砂糖の流通により、虫歯は世界中の人々を悩ませるようになりました。

「虫歯は文明病」という言葉があるほど、本来は口の中で共存しているべき細菌たちと人類は、ここ最近(と言ってもこの3000年ほど)、急速に関係を悪くしています。
そして現代。人類の歴史から見ても、口腔内の細菌の餌である糖が、これほどまで安定して食べられる時代はかつてなかったでしょう。

今回は歯医者として、そんな細菌たちと仲良くするためのアドヴァイスを致します。

子供のデンタルIQをアップ!

子供の場合には、やはり保護者がデンタルIQを高めることを考えなければなりません。
子供の時期に身についたことは、ずっと続く習慣になります。
だから正しく細菌と付き合える方法を身に着けさせる必要があるのです。

まず第一に歯磨き粉,、それもフッ素が入っているものを使うこと。6歳以上の子は大人用の濃度が高いものもお勧めします。

さらには、当たり前ですが砂糖の摂取量を減らすこと。
特に、精製された糖の入った加工食品に気をつけましょう。
子供にとって(甘党の大人にとっても)お菓子は大変魅力的ですが、
人類史約20万年の中で、こんなに虫歯になりやすいものは他にありません(笑)。

大人は知識で勝負!

大人の方は、まず自分の口の中の状況を把握すること。
今まで治療をしたことがある人は今後も治療が必要な場合が多く、問題ない人はそのままを維持する場合が多いというように、口の中の細菌との付き合い方は、肥満との付き合い方などと似ています。
リスクが高い人もいれば低い人もいるし、リスクが高い時期、低い時期があります。

現在、NCD(非感染性疾患)と呼ばれる疾患が問題となっています。
生活習慣の改善により予防可能な疾患をこう呼んでいますが、この豊かな時代だからこそ、かかってしまう病気と言ってもいいかもしれません。
虫歯や歯周病もそのうちのひとつであることは間違いないと思います。

気になることはダイレクトに相談!

もし知りたいことや気になることがあれば、直接筆者にご連絡いただいても構いません。
みなさんのデンタルIQの向上が地域のデンタルIQ向上につながり、人々の虫歯と歯周病が減っていけば、こんなにうれしいことはありません。

尾崎隆一
1992年東京都杉並区生まれ。歯科医師。2017年東北大学歯学部卒。歯医者だが砂糖を愛する生粋の甘党兼デブキャラ。