見たことのない”まち”をつくろう! ~ 製作編 ~

2022.06.04cacapo編集部
見たことのない"まち"をつくろう! ~ 製作編 ~

お待たせしました。ワークショップのコラム第二弾です!
第一回はこちらに書いたので、まだの方はこちらをご覧ください。
見たことのない”まち”をつくろう! ~ 導入編 ~

導入の話で子どもの建築へのテンションが上がったところで、カカポを使った実際の製作の作業
に入っていきます!
最初は簡単な幾何学的な形を作ってシステムに慣れてもらいます。作った幾何学的な形を少し
ずつ立体にしたり、家の形にしたり、最後には”まち”の形にしていきます。
今回はこの流れの中で製作の時に考えた事を書いていきたいと思います。


・あえて「集中を切る」
今回意識したのは、子どもたちが集中して組み立てている時に、あえて声をかけて作業を止め、話を聞いてもらうことでした。この時に子どもたちが形の意味を考えたり、こちらからの問いかけに答える事で形を言語化したり、他の子どもたちが作った作品を見ることでアイディアを共有したりする時間を作りました。
作業を中断する事で集中が切れてしまうかもしれないと危惧しましたが、ほとんどの子どもたちが集中を切らさず、続けていました。むしろ子どもたちは、形を言語化する事で作りたいものが明確になり、話しかける前よりも手が動いてるようでした。


・身体性を意識する
カカポが他の玩具と違うところは「身体性」です。子どもたちは自分より高いもの、実際に自分の体が入る構造体を作る事で、大きく分けて2つの「身体性」を意識します。
① 自分の身体スケールを実感する : 自分が建てた構造物と自分の体を比べ、自然と身体的なスケールを実感します。
②自分の行為を視覚化する : 座る、たつ、くぐる、またぐなど。様々な行為が、自分が作った構造物の中や外で行われる事で、視覚化されていきます。
開口部を指して「ここから入れるね」などと言って子どもたちの行為に声をかける事で、身体性を意識してもらうように心がけました。


・ひとつの”まち”にする
最初は2人1組で作っていた”まち”を、最後にはひとつにまとめていきます。
2人1組の時に作っていた小さな”まち”が参加者全員の作ったものを合わせてダイナミックな大きな”まち”になると子ども達から歓声があがります。今まで自分が作っていたものが別の角度から見えて来るようになるのです。その過程で別の人に質問してアイディアをもらったり、質問されて自分のアイディアを言語化したりといった、高度なコミュニケーションも生まれます。
この時は、子どもたちの間でとても興味深い会話が多く飛び交っていました。


・デコレーションの重要性
デコレーションはカカポのようなアーキテクチャー・トイにはとても大切な要素です。様々な素材でデコレーションする事で、”まち”に色がつき、全く別の空間へ変わってきます。布や段ボールなどの馴染みのある素材を構造の一部にしてみたり、壁にしてみたり、オリジナルの紙管とジョイントの色に別の色が加わることで全く見え方が変わってきたりします。子ども達のテンションがさらに一段階上がっていくのを感じました。


・ふたつの意味で火を灯す
今回はデコレーション素材の1つとして電池式のライトも用意しました。参加者は自分の作った特にお気に入りの場所や他の人に見て欲しいポイントにライトを置いていきます。最後に部屋の電気を消して、夜の”まち”が出現します。ライトを置いて自分が気に入った場所が強調され、それが空間の中に浮かび上がります。輪郭は暗くてぼんやりしているのに、ハッキリとデザインされた部分が見えるようになって来るのです。

と色んな事を書いていたら長くなってしまったので、今回はここまで!
ここまでは事前に考えてきた事がほとんどですが、次回は実際にワークショップをして感じたことをまとめた(多分)最終回です。乞うご期待!!

cacapo編集部
「家の中の家 カカポ」の企画部による、空間を遊ぶウェブマガジン「CACAPO」の編集部。少人数精鋭。ダンボールと紙管の山に囲まれて日々仕事に励む。年齢はフットワークで決まるがモットー(なのか?)。