グリーンシティ ( 環境都市 )フライブルグ へ行く

2022.02.07cacapo編集部
グリーンシティ(環境都市)フライブルグへ行く

ドイツ国内の出張がある時は必ずインターネットでその場所について調べるのと、親しい友達に「〇〇に行くんだけど何か知ってる?」と聞くようにしています。情報は多角的な方が良いと思っているのでこのように情報を集めています。
フライブルグは皆が口を揃えて「良い街」「緑が多い」「学びのある場所」と言うのです。ドイツ人は郷土愛が強く、「うちの町が最高」と言う事が多いのですが、フライブルグに関しては珍しく良い情報しか聞きませんでした。





フライブルグはドイツ南西部、バーデン=ヴュルテンベルク州に広がる”黒い森”地方として有名です。中央の駅から少し外れるとすぐに自然を見つける、感じる事ができる都市として人気が高く、加えて人口は約23万人ながら大学もあり、大学都市としての認知度もあります。皆さんが口を揃えて良い街というのも頷ける落ち着いた良い街です。


今回はそんなフライブルグの建築的な部分の感想を。
建築的な視点から言えば、自然が豊かというだけでなく、人間の自然の関係性(空間)が豊かだというのが感想です。


1. 車との関わり方
街の中心部には車が入れません。調べたところ戦後の都市復興の際から車社会に偏らない方法を選択していたそうです。そのため、街の中は大変歩きやすく、ゴシック建築から中世の街並みまでじっくり感じる事ができます。

トラムの線路を掃除する車?


ヨーロッパのいくつかの都市ではベネチアを代表とするように車を完全に入れなくする都市があります。フライブルグでは周辺部にたくさんの駐車場がありました。また周りの道路を整備されており、中心部では車の音はほとんど聞こえないのに、少し歩くと車で移動できるようになっています。ただ、まだ十分とはいえず、街の至るところで渋滞が起きていました。そのため街の人の多くはトラムや自転車を活用しているのがよく見られました。車とうまく付き合い、代案を提案できているため、街の人の満足度は高そう!


2. 水との関わり方
この街の特徴はベッヒレ(Bächle)という13kmを超える細い水路が街の中に張り巡らされている事で有名です。元々は防災対策として作られたそうですが、様々な使われ方をしています。夏場は足を入れている人がいたり、自分の店の前のベッヒレは自由に使っていいという暗黙の了解でもあるのか、お店の前の水路に花を置いたり、水路を跨るように座席があったりと、関わり方がとても親密で生活に馴染んでいました。



3. 法的整備
都市を考える上で最も一番大事な部分は ”整備” だと思います。フライブルグでは主な政策に廃棄物・リサイクル政策、自然エネルギー政策、交通政策、都市計画・景観政策などがあり、その緻密な計画と政策で欧州の都市環境保護キャンペーンを何度も受賞しています。私が特に興味深かったのが、環境都市に舵を切るきっかけです。1970年代に酸性雨によってシュヴァルツヴァルトが枯死の危機に瀕し、なおかつ近郊のヴィールに原子力発電所を建設する計画が持ち上がり、原発反対運動が起きたのがきっかけだったそうです。
つまり、市民の運動がきっかけで森を守る為の法の整備を整え環境都市へと舵を切った、ボトムアップにより作られた街の特徴だと感じました。このように市民の活動から街が作られていく事例を肌で感じられたのは非常に面白い事例に触れた気がします。

紹介しませんでしたが、視察の多い地域などでは多くのレポートを読む事ができます。興味がある人はぜひ読んでみて下さい。

今日はここまで。

cacapo編集部
「家の中の家 カカポ」の企画部による、空間を遊ぶウェブマガジン「CACAPO」の編集部。少人数精鋭。ダンボールと紙管の山に囲まれて日々仕事に励む。年齢はフットワークで決まるがモットー(なのか?)。