美術の中の家 第4回
犬小屋の散歩(海水浴編)

2019.05.03高島 亮三
美術の中の家 第4回 犬小屋の散歩(海水浴編)

【これまでのあらすじ】美術家の高島亮三(2003年当時30歳)は「犬小屋を散歩させる」ことに美術家としての表現の拠り所を見出し、本当の犬小屋が望む生き方(岡村孝子「Kiss」より歌詞の一部を改変引用。)を探す旅に出た。これまでの旅先は、渋谷・陣馬山・高尾山など。

みなさんは、黒田三郎(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E7%94%B0%E4%B8%89%E9%83%8E)という詩人をご存知ですか? 名前は知らなくても「紙風船」という詩は、国語の教科書や便覧にも載ったりするくらいの名作なので、もしかしたらピンとくる方もいるかもしれませんね。

増補改訂 新訂 総合国語便覧(第一学習社 2003年改訂版)より一部引用

「紙風船」

落ちてきたら
今度は
もっと高く
もっともっと高く
何度でも
打ち上げよう

美しい
願いごとのように

(黒田三郎 1964年 詩集「もっと高く」より)

実に美しい。こんな詩が書けたら、もう死んでもいい。そして、同じ詩集の中に「海」という詩があります。この詩もまた素晴らしい。

「海」

駆け出し
叫び
笑い
手をふりまわし
砂をけり

飼いならされた
小さな心を
海は
荒々しい自然へ
かえしてくれる

…この詩を読んだ次の瞬間、私は犬小屋(名前/マリン(メス?))を連れ立ち、三浦半島に向かってバイク(カブ)で走り出していた。

もう、今回の犬小屋の散歩に、この詩以上の言葉は要らない。犬小屋(マリン)とともに荒々しい自然にかえった記録を、写真を交えて振りかえりたい。

駆け出し

叫び

笑い

手をふりまわし

砂をけり

飼いならされた小さな心を

海は

荒々しい自然へ
かえしてくれる

「岸辺のアルバム」みたいな。

…なんか様子が変。


漂流中。


漂着。犬小屋(マリン)の胴体が見当たらない…

犬小屋のマリンを海の波に消されて、これですべてが終わったわ、何もかも。
(岡村孝子「Believe」より歌詞の一部を改変引用。)

美術の中の家(完)

いらすとや…

でも、夕暮れ時までには何処からともなく、ちゃんと帰ってきた犬小屋(マリン)。

…というわけで、次回、犬小屋の散歩(美術館・公園デビュー編)に、まだまだ続くよ。お楽しみに!

いらすとや…

【追記】
当コラムにおいて、ここぞの場面で歌詞を引用させていただいているシンガーソングライターの岡村孝子さんが「急性白血病」と診断され、長期の治療に入ることが、4月22日(月)に公表されました。一日も早いご回復を、心よりお祈りいたします。

苦しいことに つまづく時も
きっと 上手に 越えて行ける
(岡村孝子「夢をあきらめないで」より一部引用)

波乱なシチュエーション くぐりぬけて
いつの日か 無敵になる
(岡村孝子「無敵のキャリア・ガール」より一部引用)

私待つわ いつまでも待つわ
(あみん「待つわ」より一部引用)

高島 亮三
高島亮三(たかしまりょうぞう、1972年8月4日~)は、日本の美術家。東京都保谷市(現・西東京市)出身。趣味は、路傍の石採取・コケ鑑賞・ミニ四駆・岡村孝子など。第4級アマチュア無線技士。